日本遺産 中芸の旧森林鉄道沿いの草花ガイド
- 明治〜昭和にタイムスリップ
- 日本遺産森林鉄道跡と
- 季節の草花を巡る
かつて西日本最大の森林鉄道が駆け巡った県東部の中芸地域。高知市中心部から車で75分ほどにある旧魚梁瀬森林鉄道跡の軌道は、ゆず畑の風景広がる「ゆずロード」に生まれ変わっていて、多種多様な季節の草花を楽しむことができます。
中芸地域5町村(奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村)には、かつての森林鉄道の遺構がたくさん残っています。1911年(明治44年)に建造されたトンネル(隧道(ルビ:ずいどう))や橋梁などは国重要文化財に指定されていて、それら18箇所を含む遺構や食文化、歴史、伝統行事、風景などの48の文化財とストーリーが、「森林鉄道から日本一のゆずロードへ-ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化-」として、2017年に日本遺産に認定されました。
かつての旧魚梁瀬森林鉄道跡の軌道は「ゆずロード」となっています。
色とりどりの季節の植物が囲まれる、日本遺産である森林遺構の隧道(ずいどう)。
日本遺産である旧魚梁瀬森林鉄道跡、通称「りんてつ」と、ゆずや魚梁瀬杉、周辺の草花の魅力を後世に伝えようと結成されたのが「日本遺構中芸ゆずと森林鉄道ガイド会」です。「りんてつ」を巡る人や暮らし、歴史文化を知り尽くした15人のメンバーがバラエティーに富んだガイドツアーを実施しています。
草花や遺構を楽しむウォーキングツアーから、「りんてつ」に関連する遺構や関連施設を巡るものまでラインナップがずらり。事前予約が必要で、予算や日程に応じて行程(半日程度、1泊2日、2泊3日など)のアレンジが可能です。
植物ガイドツアーが実施されるのは、安田川沿いの軌道跡の平坦な道路がメイン。動きやすい軽装でOKですが、常時濡れている場所やコケの群生地を歩くので、滑りにくい靴の着用、虫対策として長袖&長ズボン、タオルや虫よけスプレーの持参がオススメです。コースによっては、トレッキングシューズや雨天時の備えも必要となるので、ガイド会にお問い合わせください。電動自動車のレンタルもでき、老若男女が気軽に楽しむことができます。
日本遺産中芸ゆずと森林鉄道ガイド会によるガイド風景。
ツアーに先立ち、安田町多目的交流センターなかやま(旧中山小中学校)の「ゆずロードミュージアム」で、「りんてつ」の歴史や文化、ユズや地域の草花について学ぶことができます。
取材時に案内してくれたガイド会副会長の曽根脩平さんは「今では考えられないダイナミックなりんてつの歴史と人々の暮らしにふれてもらい、魚梁瀬杉やユズといった植物と共に歩んだ地域の特性や魅力に触れてほしいですね」と、ユーモアあふれる口調で紹介してくれます。
楽しく分かりやすいパネルがずらり、館内には子どもも楽しめるクイズ/おもちゃコーナーも充実しています。
ミュージアムを後にして、遺構が並ぶ軌道を進んでいくと、日本遺産のタイトルにもなっているゆずロードが広がります。春にはユズの花、その後実る果実が辺り一体を自然のアロマで包み込みます。北川村には、実生のユズの樹木が多く、樹齢300年を超えるものもあります。センニンソウやモチツツジ、秋の紅葉など季節ごとに様々な植物が堪能できます。
5月に楽しめるユズの花、周辺にいい香りが漂います。
花の後の銀白色の長毛が仙人のヒゲに見える、センニンソウ。
ツアーコースのあちこちにある、トンネル(隧道)は、川に沿ってゆるやかにカーブする石造隧道です。職人が手作業で造っており、曽根さんは「隧道には“顔”があって、石の切り方や積み方の違いを眺めていると、当時の職人の苦労や達成感が見えてくるんですよ」と語ります。
トンネル自体がミニチュアのように可愛いフォルムで、入り口に刻印として彫られている「Ⅰ」や「Ⅱ」などのローマ数字もなんとも言えない味を出しています。周辺を埋め尽くす濃緑のコケやマメヅタ、ウラジロと合わせて、曽根さんの「どこから撮っても写真映えし、インスタグラムなどのSNS投稿に打ってつけ」という言葉も頷けます。
シダ植物に覆われひっそりと佇むトンネル(隧道)。時の流れが止まったような不思議な感覚で写真映えします。
曲がりくねったユニークなヒノキも人気です。
かつて鉄道は木材の運搬のほか、通勤や通学など沿線の人々の暮らしを支えていたといい、昭和初期に造られた木造アーチ橋も鉄骨トラス橋も現存しており、「清流安田川とともに、イロハモミジやモチツツジなども楽しむことができる植物愛好家の桃源郷になっています」と曽根さん。
国内でも大変希少な構法で造られている、貴重な明神口橋。
軌道で唯一の石造アーチ橋である釜ヶ谷桟道。清流や川辺の植物も楽しめます。
色とりどりの植物や魅力あふれる「りんてつ」のほか、地域ではユズの収穫体験、馬路村のゆずの森工場見学、魚梁瀬杉が林立する千本山ハイキングなど、多様な植物にまつわる体験メニューを用意しています。
また、中芸地域の岡御殿(田野町)竹崎家住宅(奈半利町)といった旧家めぐりや、往年の昭和映画を上映する大心劇場(安田町)、濱川商店をはじめとする酒造巡りなどに触れられるほか、自然薯やユズ料理などの山の幸、そして新鮮な魚も沿岸部の道の駅や飲食店で楽しむことができ、滞在型観光にももってこいです。
ガイド会の皆さんは「地域が一体となって、希少な日本遺産の魅力を広く発信し、高知観光の目玉に定着させたいですね」と意気込んでいます。
■ガイドの詳細はこちら
https://doppuri.kochi-tabi.jp/guide/guide_yasuda.html
2024年3月現在の情報です。
中芸地域5町村(奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村)には、かつての森林鉄道の遺構がたくさん残っています。1911年(明治44年)に建造されたトンネル(隧道(ルビ:ずいどう))や橋梁などは国重要文化財に指定されていて、それら18箇所を含む遺構や食文化、歴史、伝統行事、風景などの48の文化財とストーリーが、「森林鉄道から日本一のゆずロードへ-ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化-」として、2017年に日本遺産に認定されました。
かつての旧魚梁瀬森林鉄道跡の軌道は「ゆずロード」となっています。
色とりどりの季節の植物が囲まれる、日本遺産である森林遺構の隧道(ずいどう)。
日本遺産である旧魚梁瀬森林鉄道跡、通称「りんてつ」と、ゆずや魚梁瀬杉、周辺の草花の魅力を後世に伝えようと結成されたのが「日本遺構中芸ゆずと森林鉄道ガイド会」です。「りんてつ」を巡る人や暮らし、歴史文化を知り尽くした15人のメンバーがバラエティーに富んだガイドツアーを実施しています。
草花や遺構を楽しむウォーキングツアーから、「りんてつ」に関連する遺構や関連施設を巡るものまでラインナップがずらり。事前予約が必要で、予算や日程に応じて行程(半日程度、1泊2日、2泊3日など)のアレンジが可能です。
植物ガイドツアーが実施されるのは、安田川沿いの軌道跡の平坦な道路がメイン。動きやすい軽装でOKですが、常時濡れている場所やコケの群生地を歩くので、滑りにくい靴の着用、虫対策として長袖&長ズボン、タオルや虫よけスプレーの持参がオススメです。コースによっては、トレッキングシューズや雨天時の備えも必要となるので、ガイド会にお問い合わせください。電動自動車のレンタルもでき、老若男女が気軽に楽しむことができます。
日本遺産中芸ゆずと森林鉄道ガイド会によるガイド風景。
ツアーに先立ち、安田町多目的交流センターなかやま(旧中山小中学校)の「ゆずロードミュージアム」で、「りんてつ」の歴史や文化、ユズや地域の草花について学ぶことができます。
取材時に案内してくれたガイド会副会長の曽根脩平さんは「今では考えられないダイナミックなりんてつの歴史と人々の暮らしにふれてもらい、魚梁瀬杉やユズといった植物と共に歩んだ地域の特性や魅力に触れてほしいですね」と、ユーモアあふれる口調で紹介してくれます。
楽しく分かりやすいパネルがずらり、館内には子どもも楽しめるクイズ/おもちゃコーナーも充実しています。
ミュージアムを後にして、遺構が並ぶ軌道を進んでいくと、日本遺産のタイトルにもなっているゆずロードが広がります。春にはユズの花、その後実る果実が辺り一体を自然のアロマで包み込みます。北川村には、実生のユズの樹木が多く、樹齢300年を超えるものもあります。センニンソウやモチツツジ、秋の紅葉など季節ごとに様々な植物が堪能できます。
5月に楽しめるユズの花、周辺にいい香りが漂います。
花の後の銀白色の長毛が仙人のヒゲに見える、センニンソウ。
ツアーコースのあちこちにある、トンネル(隧道)は、川に沿ってゆるやかにカーブする石造隧道です。職人が手作業で造っており、曽根さんは「隧道には“顔”があって、石の切り方や積み方の違いを眺めていると、当時の職人の苦労や達成感が見えてくるんですよ」と語ります。
トンネル自体がミニチュアのように可愛いフォルムで、入り口に刻印として彫られている「Ⅰ」や「Ⅱ」などのローマ数字もなんとも言えない味を出しています。周辺を埋め尽くす濃緑のコケやマメヅタ、ウラジロと合わせて、曽根さんの「どこから撮っても写真映えし、インスタグラムなどのSNS投稿に打ってつけ」という言葉も頷けます。
シダ植物に覆われひっそりと佇むトンネル(隧道)。時の流れが止まったような不思議な感覚で写真映えします。
曲がりくねったユニークなヒノキも人気です。
かつて鉄道は木材の運搬のほか、通勤や通学など沿線の人々の暮らしを支えていたといい、昭和初期に造られた木造アーチ橋も鉄骨トラス橋も現存しており、「清流安田川とともに、イロハモミジやモチツツジなども楽しむことができる植物愛好家の桃源郷になっています」と曽根さん。
国内でも大変希少な構法で造られている、貴重な明神口橋。
軌道で唯一の石造アーチ橋である釜ヶ谷桟道。清流や川辺の植物も楽しめます。
色とりどりの植物や魅力あふれる「りんてつ」のほか、地域ではユズの収穫体験、馬路村のゆずの森工場見学、魚梁瀬杉が林立する千本山ハイキングなど、多様な植物にまつわる体験メニューを用意しています。
また、中芸地域の岡御殿(田野町)竹崎家住宅(奈半利町)といった旧家めぐりや、往年の昭和映画を上映する大心劇場(安田町)、濱川商店をはじめとする酒造巡りなどに触れられるほか、自然薯やユズ料理などの山の幸、そして新鮮な魚も沿岸部の道の駅や飲食店で楽しむことができ、滞在型観光にももってこいです。
ガイド会の皆さんは「地域が一体となって、希少な日本遺産の魅力を広く発信し、高知観光の目玉に定着させたいですね」と意気込んでいます。
■ガイドの詳細はこちら
https://doppuri.kochi-tabi.jp/guide/guide_yasuda.html
2024年3月現在の情報です。