暮らしに息づく「いのり」の伝統ー秘境・物部へ
- 奥物部で受け継がれてきた
- 「いのり」のかたち。
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大栃駅からまきの宿へ
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今回の旅の舞台は、高知県香美(かみ)市物部(ものべ)町の大栃(おおどち)エリア。高知市から列車とバスを乗り継いでたどり着いたのは、カラフルな外観が目をひく大栃駅。ここから歩いてまきの宿を目指します。
バスを降りると駅のすぐそばに、宿までの案内表示が。助かります。
築80年の古民家「まきの宿」
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大栃駅から歩くこと約5分。「まきの宿」に到着しました。1日1組一棟貸しの古民家宿は、田舎の親戚の家に遊びにきたかのような親しみのある空間。縁側から入る陽の光や、土間を抜ける風が心地よく、時が止まったかのような懐かしさが溢れています。
縁側から見える中庭には、古くから御神木として珍重されてきた「高野槙(こうやまき)」の大木が。この辺り一帯はかつて「槙山村」と呼ばれていたこともあり、「まきの宿」と名付けられたそう。
土間で見つけたかわいい猫の足跡は、この建物が建った80年前に付けられたもの。ぜひ探してみてください!
まきの宿で「いざなぎ流舞神楽」と「御幣切り」を体験!
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「まきの宿」では3月〜11月、奇数月の第3金曜日に、物部で数百年にわたり受け継がれてきた「いざなぎ流舞神楽」と「御幣切り」を体験できます。こちらのプランは宿泊者でなくても気軽に参加できるのが魅力。
また、よりディープに物部を楽しみたい!という方には宿泊プランもおすすめです。
暮らすように旅をする 築80年の古民家に泊まり、民間信仰「いざなぎ流」を体験!
また、よりディープに物部を楽しみたい!という方には宿泊プランもおすすめです。
暮らすように旅をする 築80年の古民家に泊まり、民間信仰「いざなぎ流」を体験!
「いのれ。くすれ。」物部の暮らしに根付くいざなぎ流舞神楽とは?
「いのれ。くすれ。」これは物部で代々語り継がれてきた言葉。「いのれ=祈り」、そして「くすれ」とは「薬(=お医者さんに行くこと)」を指します。山を下って病院へ行こうにも遠くて時間がかかってしまう日々の生活のなか、「お医者さんに行くよりも先にご祈祷しよう」と言われるくらい、祈りが暮らしの中に根付いていました。
そんな「いざなぎ流御祈祷」は物部川上流域の村とその周辺に伝わる民間信仰の総称です。起源は不明ですが、陰陽道・修験道・仏教・神道などが混淆(こんこう)して成立したと考えられています。昭和55年に国の「重要無形民俗文化財」に指定されました。舞神楽は「太夫」と呼ばれる人々によって伝承され、現在は「物部いざなぎ流神楽保存会」によって受け継がれています。
そんな「いざなぎ流御祈祷」は物部川上流域の村とその周辺に伝わる民間信仰の総称です。起源は不明ですが、陰陽道・修験道・仏教・神道などが混淆(こんこう)して成立したと考えられています。昭和55年に国の「重要無形民俗文化財」に指定されました。舞神楽は「太夫」と呼ばれる人々によって伝承され、現在は「物部いざなぎ流神楽保存会」によって受け継がれています。
いざなぎ流舞神楽の演舞は、基本の舞を5つの方向に向かって舞います。そして、錫杖(しゃくじょう)や太刀、へぎと呼ばれるお盆を持ち、基本の舞を繰り返し舞います。ひとつひとつの舞は短くてシンプルですが、舞が繰り返されていくにつれて、その不思議なリズムと動きに魅せられていくような感覚に。
太鼓と唱えごとに合わせて舞ういざなぎ流舞神楽。この太鼓のリズムも、なんだか不思議な間合いでした。
こちらが錫杖。実際に持ってみると結構重い。シャンシャンと大きく澄んだ音が、まきの宿中に響きます。
舞ってみた!(意外とハード)
舞神楽の鑑賞が終わった後は、実際に振り付けを教わり舞ってみるまさかの実践編。それぞれの持ち物の意味を教わりながら、基本の舞に挑戦しましたが、これがとっても難しい!ダンス経験がある方でも、独特のリズムと間の取り方に戸惑うことがあるようです。
そして観る以上に、神楽を舞うのは意外とハード!一通り体験した後はうっすら汗ばむほど。太刀(当時は真剣!)を咥えてでんぐり返し(!!!)をするといったアクロバティックな舞もあったそうです。
そして観る以上に、神楽を舞うのは意外とハード!一通り体験した後はうっすら汗ばむほど。太刀(当時は真剣!)を咥えてでんぐり返し(!!!)をするといったアクロバティックな舞もあったそうです。
御幣切りに挑戦
神楽を舞う際に手に持つアイテムの一つでもある御幣。200種類ほどあり、そのかたちによってさまざまな意味が込められています。
今回は見本を見ながらコピー用紙に下書きしカッターで切りましたが、本来は和紙を下書き無しで小刀で切って作るのだそう。しかもその小刀は7代以上続く鍛冶屋によって作られたものではないといけないのだとか・・・!
今回は見本を見ながらコピー用紙に下書きしカッターで切りましたが、本来は和紙を下書き無しで小刀で切って作るのだそう。しかもその小刀は7代以上続く鍛冶屋によって作られたものではないといけないのだとか・・・!
御幣で重要な「ちぢ」と呼ばれるアコーディオン状の折り目。82歳のベテラン先生が魔法のように「ちぢ」を作る手つきに釘付け!子どもの頃から舞神楽と御幣が身近にあったそう。
苦戦しながらも切り上げた紙を開くと、なんだかユーモラスで、可愛い表情の御幣が完成しました!切った人によって表情が少しずつ異なるのも面白い。完成した御幣は竹に挟んでおまつりするそうです。
今回切った形は「和合の幣」と呼ばれるもの。山の神様と水の神様は夫婦で、大変仲が悪いと考えられていたそう。神様夫婦が仲良くなるよう祈りを込めて作られた御幣です。
今回切った形は「和合の幣」と呼ばれるもの。山の神様と水の神様は夫婦で、大変仲が悪いと考えられていたそう。神様夫婦が仲良くなるよう祈りを込めて作られた御幣です。
宿の入り口にも、今回切った御幣とはまた違ったものが飾られていました。これは一年の災いなどを祓った後、悪いものが家の中に入ってこないよう、家の入口にかける御幣(関ざねの幣)。古くから人々の日常と共に御幣があったことがうかがえます。
お昼は物部の山の幸が詰まったお弁当!
御幣切り体験が終わったあとは参加者全員でお昼ごはんタイム。川魚に山菜、そして田舎寿司。このエリアは柚子栽培が盛んなので、田舎寿司には柚子酢がバッチリ効いていました。柚子味噌と焼いた魚を和えたご飯のお供も、高知市出身の筆者にとっては普段食べることのない味で新鮮でした!
ちなみにまきの宿では、冬の柚子の時期に柚子搾り体験も行っているそう。こちらも参加してみたい・・・
今回の体験に参加したのは、物部の伝統に魅せられてはるばる県外からやってきた一人旅の方、ご家族が高知出身で帰省のタイミングでこの体験に参加した方、高知県内在住で舞神楽に興味を持って参加した方など、様々。それぞれが暮らす土地の不思議な慣習や、今日の体験の感想などを語り合ったり。保存会の方から、物部で過ごした子ども時代の衝撃エピソード(これはぜひご本人から聞いてほしい・・・!)にみんなでびっくりしたり。美味しいご飯とおやつをいただきながらおしゃべりする時間が印象的でした。こうした交流のひとときも、旅の楽しみですね♪
ちなみにまきの宿では、冬の柚子の時期に柚子搾り体験も行っているそう。こちらも参加してみたい・・・
今回の体験に参加したのは、物部の伝統に魅せられてはるばる県外からやってきた一人旅の方、ご家族が高知出身で帰省のタイミングでこの体験に参加した方、高知県内在住で舞神楽に興味を持って参加した方など、様々。それぞれが暮らす土地の不思議な慣習や、今日の体験の感想などを語り合ったり。保存会の方から、物部で過ごした子ども時代の衝撃エピソード(これはぜひご本人から聞いてほしい・・・!)にみんなでびっくりしたり。美味しいご飯とおやつをいただきながらおしゃべりする時間が印象的でした。こうした交流のひとときも、旅の楽しみですね♪
取材に訪れた時期はちょうど新茶の季節。お茶の栽培も盛んな物部では、今も各家庭の茶畑で、家用のお茶を作るそう。摘んだばかりの新茶を炒った手作りのお茶は、ほっと体にしみわたる味。綺麗な水と空気が作った味です。
デザートは大栃饅頭。もちもちの皮の中にはミッチミチにあんこが詰まっていて、優しい甘さです。
まきの宿周辺さんぽ
まきの宿での楽しい時間が終わったあと、宿のスタッフの方におすすめスポットに連れて行っていただきました。15分ほど山道を登ると現れたのは、目の覚めるような緑に囲まれた立派な鳥居。「塩峯公士方神社(しおがみねくじかたじんじゃ)」は、この一帯の総鎮守です。物部の美しい自然と、人々が守り繋いできた伝統に、感謝の気持ちを込めてお参りしました。
こうして教えてもらわなければ、一人では絶対に辿り着けなかった場所。まきの宿に訪れた際は、ぜひスタッフの方に尋ねてみてくださいね!
こうして教えてもらわなければ、一人では絶対に辿り着けなかった場所。まきの宿に訪れた際は、ぜひスタッフの方に尋ねてみてくださいね!
神社までの道は、かつて貴重な物資であった「塩」を運んだ道。木漏れ日と生き生きした植物に癒されました。宿に泊まって、朝の散歩にもおすすめのコースです。
お供えする日本酒は、神様が呑めるように少し蓋を開けるのがしきたりだそう。たしかに・・・!
「奥物部ふるさと市」でここでしか買えないお土産を探す
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せっかくなので、ここでしか手に入らないお土産を買いたいと思い、向かったのは「奥物部ふるさと市」。鹿のツノのキーホルダー、手作り味噌、田舎寿司、物部のお茶、手作りの竹細工のかごに尺八(実は買うかどうか少し迷った)・・・こじんまりした店内には、普段見ることのない珍しい商品がたくさん!旅行者の方だけでなく、地元の方や物部に仕事に来た方も立ち寄る、多くの人から愛されるお店です。
今回は手作り味噌、新茶、鹿肉ジャーキー、大栃まんじゅうなどを購入。この辺りではもうお一人しか作っていない&ふるさと市でしか買えないと聞いたたぬきの油は、勇気が出ずに買わず・・・やっぱり買えば良かったかなあ。
今回は閉まっていましたが、軽食やお弁当、焼いたアメゴを売るお店も併設されているそう。
今回は手作り味噌、新茶、鹿肉ジャーキー、大栃まんじゅうなどを購入。この辺りではもうお一人しか作っていない&ふるさと市でしか買えないと聞いたたぬきの油は、勇気が出ずに買わず・・・やっぱり買えば良かったかなあ。
今回は閉まっていましたが、軽食やお弁当、焼いたアメゴを売るお店も併設されているそう。
さすが、栽培が盛んなだけあって「柚子推し」コーナーが充実。お土産にぴったりですね。
お昼にいただいた大栃まんじゅう、ここで買えます。おまんじゅうからあんこを抜いたのが「ベッタリ」。これを翌朝に軽く蒸してふっくらさせたあと、トースターで表面をこんがり焼いたらとっても美味しかったです。
奥物部ふるさと物産館で絶景レイクビューに癒される
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大栃を訪れた際にぜひ立ち寄りたいと思っていたのが、市の隣にある「奥物部ふるさと物産館」のゆずの里レストラン「アンソレイユ」。店内から見渡す湖が本当に美しくて感動!そして絶景を眺めながら飲んだ柚子ソーダ、酸味がキュンと身体に染み渡って、とっても美味しかったです。ランチタイムに提供されるジビエランチも気になる・・・。
キッズコーナーが併設されているのも嬉しいですね!
キッズコーナーが併設されているのも嬉しいですね!
2階にはギャラリーが。定期的に展示が入れ替えられており、訪れた際には「奥物部湖湖水祭り」の写真展が開催されていました。「お山のディスコ」にも行ってみたい!
ギャラリーの横はフリースペースで普段はお客様に向けて開放されているほか、講演会などのイベント会場として活用されているそう。また、アトリエスペースでは竹細工教室などのワークショップも開催されています。
バスの発車まで時間があったので・・・(高所恐怖症注意)
帰りのバスの発車時刻まで小一時間ほどあったので、まきの宿のスタッフさんに教えてもらったもう一つのおすすめスポットに行ってみることに。ダム湖にかかる「韮生川橋(にろうがわばし)」は、道路のほとんどがグレーチングになっていて、下の川面がすけすけ・・・。写真ではなかなか伝わりにくいですが、高所恐怖症の方は念のため気をつけて写真をスライドして見てください。実際に立ってみると、かなりスリル満点です。
とはいえ、橋から眺める山とダム湖の景色は壮大で、旅の締めくくりにぴったりな思い出となりました。
物部エリアは公共交通機関を使うと乗り換えが多くて遠路はるばる・・・という印象ですが、車を使えば高知市中心部から1時間ほど、高知龍馬空港からだと45分ほどと、意外と気軽に行ける距離。
人々の日常の中で守り継がれてきた祈りの伝統や、美しい自然。懐かしい里山の暮らしが、今も息づいているのを感じました。
まだ見ぬ秘境に足を伸ばしてみたくなったら、ぜひ物部へ!
とはいえ、橋から眺める山とダム湖の景色は壮大で、旅の締めくくりにぴったりな思い出となりました。
物部エリアは公共交通機関を使うと乗り換えが多くて遠路はるばる・・・という印象ですが、車を使えば高知市中心部から1時間ほど、高知龍馬空港からだと45分ほどと、意外と気軽に行ける距離。
人々の日常の中で守り継がれてきた祈りの伝統や、美しい自然。懐かしい里山の暮らしが、今も息づいているのを感じました。
まだ見ぬ秘境に足を伸ばしてみたくなったら、ぜひ物部へ!



