土佐市、酒蔵巡りの旅

1月下旬。土佐文旦が旬を迎えるシーズンに、日本酒好きの女子二人で高知県土佐市を訪れました。高知県内には19の酒蔵があり、土佐市にはそのうち2つの蔵元があります。一緒にお酒を味わいたいという願望のもと交通手段は公共交通、土佐市内はタクシーを利用。正直ちょっと移動にお金がかかりましたが、酒蔵での体験はまさにプライスレス!土佐酒と町の魅力を満喫した1泊2日の旅をご紹介します。
  • 高知の柑橘の王様「文旦」/ドラゴン広場

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高知駅からとさでん交通のバスに乗って約50分、土佐市役所前に到着しました。
ここ土佐市は、高知を代表する柑橘の王様、土佐文旦(とさぶんたん)発祥の地!ちょうど今が旬とあって、大きな袋いっぱいに入った文旦が山積みにされた光景を至る所で目にします。

朝どれ野菜や土佐和紙製品など地域の特産品に会える「ドラゴン広場」の店頭でも、ミカンやポンカンなどの柑橘と一緒に文旦が並んでいました。酸味と甘味が混ざった爽やかな香り。クセになる美味しさです!

土佐市役所のすぐ隣、老舗の和菓子屋さんも並ぶ高岡商店街の中にありました。

ドラゴン広場以外の場所でも、至るところで文旦が売られています。帰りに「地のもん市場ハレタ」でお土産用に大きな袋入り文旦を買いました♪

  • 香りと味わいを愉しむ酒蔵見学/亀泉酒造

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ドラゴン広場からタクシーに乗り、約10分。明治30年創業の「亀泉」にやってきました。
美味しい!楽しい!面白い!をモットーに、酒米と酵母にこだわった美味しい酒造りを行なっている酒蔵です。

会長の西原さんに案内していただき、まずは酒造りを見学。歴史ある蔵の中は甘い香りが広がり、時の流れを感じる趣深い空気感。明日絞るという樽を覗かせてもらったり、酒かすを味見したり、感動的な体験をさせていただきました。

見学を終え、蔵の中にあるバーカウンターに着席していよいよ試飲の時間です。

酵母で決まるお酒の香り。高知県独自の酵母はバナナ系・リンゴ系に分かれ、「おもしろさ」を追求する亀泉ではこの高知酵母にこだわったフルーティな逸品を数々生み出しています。酒米は自社でも育てており、西原さんのお話からも妥協のない酒造りへの思いが伝わってきます。

試飲では、仕込み水で舌を整えつつ、酒米と酵母を意識しながら、「鰹に合う土佐酒コンテスト」で最優秀賞に選ばれた特別純米酒、希少な高知県産酒米の酒、幻の酒米「亀の尾」で造ったお酒、フランスで絶賛されたエピソードをもつ純米大吟醸など10種類以上を堪能しました。まさに夢のような時間で、飲むたびに「これが1番美味しい!」が更新されていきます。

✏️「亀泉酒造 蔵見学」は事前予約が必要です。

  • 酒造りに触れる酒蔵見学/酔鯨酒造 土佐蔵

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再びタクシーに乗り、向かったのは酔鯨酒造の「土佐蔵」。
自然豊かな場所に、洗練された建築が佇んでいました。
創業以来本社「長浜蔵」で酒造りを営んできた酔鯨酒造が、その伝統技術を受け継ぎながら最新設備を導入し、「今よりうまい酔鯨を造るため 未来を見据えた蔵」として2018年に建てた酒蔵です。

見学前に、「SUIGEI STORE」内に併設されたカフェ「SAKE LAB CAFE」でひと休み。さすが酒蔵のカフェとあって、酔鯨の吟醸造りのあま酒や酒かすを使用したドリンク、スイーツが沢山ありました。ノンアルコールなのでお子様も一緒に楽しめます。

あま酒を使用したソフトクリームパフェ「あま酒パフェット」と「ほっこりあま酒ぜんざい」を注文。麹の優しい甘みと香りが広がる、ここでしか味わえない贅沢なほっこりスイーツでした。

酔鯨の日本酒と酒かすを配合したフェイスマスクを購入!早速この日の夜、宿で温泉に入った後に使い、ほのかなお酒の香りに包まれて至福のリラックスタイムを過ごしました。

SUIGEI STOREで蔵見学の受付を済ませ、いよいよ見学がスタート!

ここでは、お米の精米から製品化するまでの全工程を見学することができます。
土佐蔵では高知の「吟の夢」などの酒造好適米を使用し、精米歩合50%以下の大吟醸を中心に造られています。お米の外側にある旨味成分を削ることで、雑味のないスッキリとした美味しいお酒が生まれます。中には、30%まで精米する高級酒もあるそうです。「お米を70%も削るの?」と驚くかもしれませんが、削ったお米は石鹸や洗剤の油、米粉などにリサイクルされています。

精米したお米は、高知の冬場の外気に合わせて温度と湿度を管理した環境で1ヶ月保管されます。その後、洗い、蒸し上げ、麹造り、仕込み、もろみができます。酔鯨のもろみは、米と麹、酒母に、高知市を流れる鏡川の源流である土佐山村から汲んできた仕込み水をタンクに混ぜ合わせて造られます。醸造中のタンクを上から覗くと、ぶくぶくと発酵している様子が見えます。その後、酒かすと清酒に分ける搾り作業を行い、できた清酒を手付かずのまま瓶詰めするそのお酒は「限定酒」と呼ばれ、ここ土佐蔵でしか味わえない特別なお酒なんです。

見学後、貴重な限定酒や文旦のリキュールを試飲。あてに出していただいた酒盗といりこがお酒にピッタリで感動しました。酒かすのソフトクリームも、丁寧な説明を伺った後は一層美味しかったです。
さらにお猪口のお土産付きで、思い出に残る体験になりました。

✏️「酔鯨酒造 土佐蔵見学」は事前予約が必要です。

酒蔵からタクシーに乗り、今晩宿泊する「三陽荘」に到着しました。
目の前には海が広がり、時折海岸線を車が颯爽と走り抜けていきます。そんな気持ちのいい景色を眺めながら足湯に座ってのんびりおしゃべり。ここの温泉は地下1700mから湧き出た濃厚な天然成分を含む温泉で、保温効果が高い「黄金の湯」と呼ばれる塩化物泉です。風情あるお風呂でゆったりくつろぎ、旅の疲れも癒やされました。

限定プランで予約した部屋はオーシャンビューで、高知県馬路村の柚子にちなんだアメニティが充実しており、柚子特有の爽やかな香りに包まれて幸せな気分に。早朝には朝焼けを眺め、自然の圧倒的な美しさに心もリフレッシュされました。

海を眺めながら晩ごはん。絶品の鰹のわら焼きたたきはもちろん、四万十鶏と野菜の吟醸仕立て、合鴨ロースや勘八の香草焼きなど、高知の旬の食材をふんだんに使ったお料理を堪能しました。

朝風呂の後にいただいた朝食も小鉢がずらりと並び、いろんなお料理を楽しみました。2日目も気持ちよくスタート!

  • "宇佐ぶら"食べ歩き探検/土佐市宇佐町

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2日目は「改良土佐節発祥の地」で知られる土佐市宇佐町をガイドさんと一緒に巡るガイドツアーに参加。

漁港でガイドさんと待ち合わせし、まずは港をお散歩。港に停泊する船を眺めながら、船のネーミングから宇佐町の歴史まで、クイズも交えながら楽しく解説してくれました。

町に入ると、まず最初に行ったのはアイスクリン屋「川崎アイス」さん。3代続く老舗で、看板のないお店にアイスクリンのメニューが小さく掲示されています。試食させてもらったのは、水色のマーブル模様のアイスクリン。優しいバナナフレーバーで、ノスタルジックな町並みにぴったりの味でした。地元の人は店主さんの自宅に買いに来るそうです!

次に、150年続く老舗「浜吉ヤ」の鰹節工場を見学。江戸時代からある燻製室、職人さんの丁寧な手作業、豪快に茹で上がる鰹。代々受け継がれてきた伝統の技を目の当たりにしました。

見学の後は絶品の鰹の角煮とサラダ鰹を試食。お店の方に簡単レシピをたくさん教えていただき、工場直売ならではのお得価格でお買い物を楽しみました。

続いて、「売ってないもんはない」という雑貨屋さんへ。細い路地を進みタイムスリップしたかのような場所に「川野商店」さんはありました。創業100年を超え、店内は懐かしい雰囲気が漂います。「豆は量り売り、素麺は1束から買える」とガイドさん。調味料や缶詰、日用品から仏具まで、何でも揃う町の百貨店でした。宇佐町に行ったら絶対に寄ってほしい場所ナンバーワンです!

最後に立ち寄ったのは、こちらも創業100年以上の老舗和菓子屋 北代和菓子店。真珠貝の養殖が盛んに行われていた昭和30年頃に、二代目店主が考案したという銘菓 土佐真珠をいただきました。貝の形の最中に真珠に見立てた求肥と餡が入っていて、甘さ控えめで食感もよく、上品なお味でした。

「色んな方に町のことを知ってほしい、その一言に尽きますね。」とガイドの濵田さん。笑いもありつつ、色んなお話を聞きながら宇佐町を満喫させていただきました。

 

✏️「土佐節(鰹節)発祥の地を舌で楽しむ"宇佐ぶら"食べ歩き探検」は事前予約が必要です。

 

 

ツアーの後、再びドラゴン市場と地のもん市場ハレタで文旦や野菜、お酒を買ってから帰路へ。海と山の恵みが溢れる土佐市の伝統を堪能する旅になりました。